FUJICOが独自に開発したCPCプロセスは他の製法では不可能な特殊な材料をクラッドできる画期的な技術です。そのクラッド層は均一な成分組織で厚みや形状を自由に設計できます。
このプロセスで製造されるロール・ローラーは国内はもとより海外でも高い評価を得ています。
CPC法の概要
フジコーが独自に研究・開発したCPCプロセス(Continuous Pouring process for Cladding)は画期的な複合鋳造技術です。このプロセスの特徴は他の製造方法では不可能な特殊な材料をクラッドすることができます。またそのクラッド層は外層から内層にいたるまで、均一な化学成分と組織を有すると同時に、その境界部は金属結合であるため剥離することはありません。さらにクラッド層の厚みや形状も自由に設計することができます。
このプロセスで製造される圧延、矯正、搬送ラインなどで使用されるロール・ローラー類は、日本国内はもとより海外においても高い評価を受けており、特に搬送ローラーは高い信頼性からトップシェアの地位を誇っています。

CPCプロセスについて(動画)
CPC法の特長
2種類の材料のクラッドにより新しい特性を有する材料の製造が可能
高硬度であるが摩耗に弱い材料、摩耗には良いが強度がない材料、腐食には強いが強度がない材料などのそれぞれの特性を生かすようにクラッドすれば、今までにない新しい材料を創造出来ます。例えば強靱性鍛造軸を芯材とした耐摩耗型圧延ワークロールが次世代ロールとして可能です。
2種類の材料のクラッドにより安価な高級材料の製造が可能
必要な部分に高価な材料、必要でない部分に安価な材料をクラッドすることにより、一体構造材料より安価な高級材料を製造できます。
従来の肉盛溶融接法では不可能であった材料がクラッド可能
溶湯を使用するC・P・C 法は溶接材料を使用しない為、溶接材料製造の制約を受けない事。C・P・C 法は一層肉盛法であり、熱の集約度が小さい事等により従来溶接では不可能又は困難であった鋳鉄系材料を容易にクラッドできます。
クラッド・スピードが速く、一層肉盛の為、肉厚クラッドに優れています
溶湯を注入してクラッドするC・P・C 法は従来の肉盛法とは比較にならない程のスピードで多量肉盛層を構成できます。
使用済ロールの補修再生が可能
技術的特性
断面状況
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中空芯材使用の場合の横断図
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中実芯材使用の場合の横断図
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中空芯材使用の場合の縦断図
境界層を挟んだ引張試験結果

組合せ | 引張強さ (N/mm2) |
伸び (%) |
絞り (%) |
破断位置 |
---|---|---|---|---|
SUS304と S45C (芯材) |
520 530 |
37.1 39.5 |
71.5 72.3 |
SUS304 〃 |
境界層の引張試験では、芯材材料、肉盛材質のいずれか強度の低い方で破断しております。
つまり境界層の接合強度は充分で、境界層から剥離する心配はまったくありません。
XMAライン分析結果


SUS304(肉盛材)とS45C(芯材)の組合せでの境界層XMA線分析結果を示しますが、Crを例にとりますと芯材側75μ肉盛側75μぐらいの幅で成分濃度勾配があります。
このことによりCrの場合、この合計150μが拡散層と考えられます。しかし強度的な面では、この拡散層の影響はまったくありません。
製造可能な寸法および材質
肉厚ロール製品の外径 | ø180〜ø900mm |
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肉厚ロール製品の長さ | Max 8,000mm(鋳放長) |
肉厚ロール製品の重量 | Max 20,000kg(鋳放重量) |
肉盛厚み(片肉鋳放) | 中空芯材:15〜85mm 中実芯材:20〜100mm(実績 Max.150mm) CPP法の場合は内径が90mm程度まで製造可能 |
芯材の寸法ならびに材質 | 外径ø150〜ø800mm、一般鉄鋼材料ならびに特殊鋼 |
肉盛材料 | 鋳鉄、特殊鋳鉄、特殊鋼ならびにステライト等の非鉄材料 |

CPC装置(注湯状況)
製品例
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熱延仕上圧延機ワークロール
- 形鋼ミルワークロール
- 厚板仕上圧延機ターンテーブルローラー
- 厚板仕上圧延機前後面テーブルローラー
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熱延巻取機ラッパロール
- 連続鋳造用ローラー
- 熱延粗テーブルローラー
- 熱延フィードローラー
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棒鋼線材圧延ロール
- 熱延巻取機下ピンチロール 等
ワークフロー


